物理学・宇宙物理学専攻(物理学第一分野)・准教授 池田 隆介

 
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 ここ数年、少人数クラス面談時の学部生からの情報に加え、1,2回生科目を担当する年度が続いたことから、系登録前の理学部生の成績にずいぶんと目が行くようになった。
 昔は、理学部生が系登録できないパターンの多くは語学や人社科目の修得単位不足であったが、10年ほど前から系登録できない学生の典型例は、理学部2000番台科目で単位が取れないというものに変わってきていた。これに加えて、CAP制や1点刻みで点数の書かれた自分の成績を学生が目にするようになったことが原因と思われるが、これは物理登録希望者だけかもしれないが、2000番台科目の成績 (点数)を妙に気にする学生が増えてきた。そしてここ1,2年では、オンライン授業も関係して全学共通科目の成績基準が下ったことが原因だと思われるが、1回生を終えた学生の成績が一様に良い(良すぎる)ために学生が自分の実際の状況を把握できておらず、2000番台科目を受講して戸惑っているというケースが明らかに増えた。
 「緩やかな専門化」 という理念のもとに、自主ゼミを実施したりして自分のしたい勉強は少人数で取り組むなどして理解を深めて、全体的には余裕を持った形で基礎科目の教育を受ける1,2回生、というのが本学部の典型的な学生の姿であったと私は理解していたが、どうもそれとは正反対で、理学部2回生の様子に余裕がなさすぎるように私には見える。
 今、国立大学間の理学部が連携してジェンダーバランス是正に取り組み。女子学生入学者の別枠を設けることが議論されつつある。それが実現するとこれまで想定していなかったタイプの入学者への対応がさらに必要不可欠になるということであろう。本学部の1,2回生教育の中身と成績評価方法の再検討に目を向けたほうがいいのではなかろうか。